2020年コロナの年は人と人、人と社会の触れ合いを薄くした。

大好きな「おもちゃ」を無くしたみたい。

無くした濃密なひと時が身に滲みる。

普通にあんなにコロコロ転がっていたのに。

演る筈の舞台も消えた。

しかし私達役者の身体にとって「ケイコ」は有要有急のもの。

否応なく屋外での、役者個人の技量に焦点を当てたケイコを始めた所、

そのケイコとてもオモシロイものになった。

一人ケイコは自分を観る。

二人ケイコは相手を観る。

通しケイコは風景を観る。

狭いところを深く深く掘る様に短いシーンを、何度も何度も繰り返す。

その内に、「役を創る力」は「観る力」から始まる。

自分も人も社会も「自分の観たモノ」が全て。

自分にはウソがつけない、その「自分を悟り知る力」が役者に最も要る技術。

自分の観て来たこと全てがケイコだったと気がついた。

昔から「芸は教えられるもんじゃない。盗むもんだ」

と言うのはこの事かと目から鱗の一年でもありました。

皆様よいお年を。来年もよろしくお願いいたします。