街のまん中ポッカリ開いた丸天井、
蒸し暑い夜の公園、もうすぐ雨が来る。
ぬるい風が吹き抜け、稲妻が雲を横に引き裂く。
遅れて音が追い掛ける。
…イイモノみたなぁ
と嬉しくなる。
今日の稽古はただごとじゃない。
まるで芝居の天地荒れ狂う場面の様。
“野風山風吹き落ちて、
鳴神稲妻天地に満ち、
空かき曇る雨の夜に、
一対一のツレケイコ”
一挙にテンションが上がる。
龍と虎。
風神と雷神。
教える方も教えられる方も熱が入る。
密度の濃いケイコに満足する。
ポツポツポツリ、「いかん雨が降ってきた」と、
道をはさんだ高速道路高架下に難を逃れ、もうひとゲイコ。
…9カ月も室内でなく屋外でケイコを続けていると、
不便もあるが得することもある。
暗雲渦巻く稲光に照らされてのケイコなど滅多にない。
芝居の神様が造ってくれた「天然劇場」で、
ケイコと言う名の本番を勤めたのかも知れない。