昨年12月の「ベニスの商人」パンフレットに、

2018年予定ー役者養生「虎の穴」実験劇場、と書いた。

書いたのは私だ。

確たるものがあったわけではなく、ナンとなく書いた。

しかも「役者養生」と書いてしまった。

「役者養成」と書くべきだったのに、ノンビリ休養してじゃなく、

キビシイ鍛錬の場としての「虎の穴」なのに…

これでは「ウサギ」とか「モグラ」の穴になってしまうじゃないか!

…嗚呼…

芝居にいちばん大事なのは、生身の人である。

「役者とは、百の仕事をこなせる人」

百姓目指して一昨年より、歌舞伎メイク、日舞、ブトーと役者に必要な技術を身につける事に力をそそいだ。

今やるケイコは三年後に役に立つとよく言われるが、

本当にそうだと思う。

知識だけでなく、手に身体に染み込むまでにはそれくらいかかる。

三年やり続けて初めてわかる。

さて、ハラプロジェクトの地道な役者力アップ技術習得作戦は始まったばかりである。

「ナン人がおいしいしばいにありつくのだろう」楽しみである。

で、「虎の穴」である。

もし虎の穴劇場に表札があるとしたら、無電力芝居「藪の中」。(そう芥川龍之介の)

こんな表札のかかった芝居が本年アチコチで行われる筈である。

ケイコが始まって一ヶ月経つ。

ナニもないところで嘘の皮をポロポロ剥ぎ取り生身の人になる作業だ。

ケモノに劣らぬ生身の美しさを競うのだ。

絶対必見、満々の自信を持って猛ケイコ中。

私の今までで一番ナニもナイ、文字通りの芝居にアタック。

…藪の中、木漏れ日の、月明かりの、焚き火の灯りの中で、

風音、水音、こすれる木葉、虫の音、盲目の琵琶法師ただ一人。

蠢くケモノ科ヒト属の人々、脳をくらませる香のケムリ。

一発目は奥深い深山か川のはとりを狙ってる。

…乞うご期待…