私は役者なので身体には気を使う。

若い時、腎臓を悪くし塩分ゼロの味気無い生活をした事も有り

自由に振舞える身体にあこがれた。

それで自身の身体が持つ自然治癒力に興味がわく。

自然食、ヨガ、野口体操、弓道、密教体操、断食などなど。

・・・試して身体が欲しがるものは続け、欲しがらぬものは止める。

今でも続けている一つに「風呂上りの水浴び」がある。

風邪などほとんど引かないのは、この御陰かもしれない。

しかし、水浴びは冬に始めるとつらい。

「ンッ」っと声にならない声。

冷たい、とても冷たい、それで大方の人は止める。

でも夏は水が冷たくないので平気どころか

「シャキッ」として気持ちいい。

なんだかいい事をしたかのような達成感もある。

それが9月10月となると「オッ」「オッオッ」と水は冷たくなり、

シャワーの水をかける部位もヒザ、腰、胸、頭と上に上るにしたがい

少しの覚悟が必要になるが、達成感は高まり嬉しくもある。

さらに11月12月となると、水は完全に冷たい。

かなり決心と覚悟が要る。

「ウッ」と息を止めたまま、ゆっくり満遍無く水を浴びる。

やがて冷たさも身体1に馴染み蛇口を閉める。

ピッ、ピッと手で体の水滴をはじき、

徐に洗面台の鏡の前に立ち、大いなる達成感に包まれる。

冬を過ぎ、春から夏へ向かうと覚悟も少しずつ泡となって消えてゆく。

そして又、冬に向かって覚悟がふくらんでいく。

こうして春夏秋冬一年が過ぎる。

身体が元手の私にとって「水浴び」とは

身体を調えるだけで無く、四季の移ろいを知らせてくれ、

小さな覚悟と自信をも与えてくれる。

私の身体にいいと思う事の中で簡単度上位である。

……身体の事を文章で書くのはむずかしい、それで絵も描いてみました。